Aug 18, 2016

No.71 原田 祐馬
UMA / design farm 代表 / デザイナー

選定品 A

ポケットティッシュ

北摂に暮らす私たちにとって、信頼できるタクシー会社の一つ『 日本タクシー』。マルーンカラーの
車体に乗り込むと、「よかったら」と運転手の一言と共に、ポケットティッシュを手渡してくれる。
これは、忘れ物をしたときや車を呼びたいときに、運転手の名刺として機能する。ここまでだと、少し
気の利いたタクシー会社とあまり変わらない。大きな特徴は、ポケットティッシュのサイズ。名刺の
代用品ということもあり、短辺が名刺サイズと同じ、長辺が運転席から後部座席まで無理なく届く気持
ちの良い寸法になっている。手のひらで落ちついていたiphone5とも同寸。私は、これを手のひらの黄
金比、または手のひらに吸いつくデザインと呼んでいる。そして、北摂に暮らす人たちの家には、日本
タクシーのポケットティッシュがあらゆるところで息をひそめ、今か今かと使われるときを待ち望んで
いるのだ。

 

 

選定品 B

カスタードプリン容器

これをみて懐かしさを感じるのは私だけでないはずだ。小さな頃から関西に暮らす人たちの食器棚に
眠っている一品だろう。夏、このグラス(容器)で麦茶を飲むとすこぶるうまい。私の場合、祖母が
買ってきてくれたことやプリンを食べていた家族の食卓など、 幼き頃の良き思い出が引き出されるの
だ。機能面では、耐熱性が高くガラスの厚みもあるので、口当たりは決してよくないが、簡単に割れ
たりしない強さを兼ね備えている。ガラスの歴史は4,500年前以上にさかのぼる。それだけ多くの人に
愛され進化してきた材料であろう。この容器も同様で、開発された1973年当時は183g、そこから割れ
防止のために形状変更や軽量化を繰り返し、現在は140gまで軽くなっている。しかし、重要なことは、
『モロゾフ』のカスタードプリン容器が、私たちの楽しかった記憶のスイッチとして機能し、美しさ
でなく、豊かな時間を感じさせるデザインだということだろう。さぁ麦茶をおかわりしよう。

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